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人生の扉は自分で叩き、自ら開く!ードイツ留学で得た人生哲学を実現するサッカーコーチ

2023年10月30日

コミュニケーションのイラスト

一般社団法人伊勢原FCフォレストを設立し代表を勤める一場 哲宏さん。


小さい頃からのサッカー好き、好きをそのまま叶えサッカーのコーチングを学ぶためにドイツへ海外留学。その留学先で心底実感した「自分の人生の扉は自分で叩き開くんだ!」という考え方が基礎となり、その後のキャリア形成に大きく繋がっていったとのこと。

ドイツ、イギリスでサッカーコーチ・体育コーチを経験後、帰国。

世界で活躍するサッカー選手を輩出したサッカークラブチームのコーチとして活躍。
2019年、サッカーを通して子供たちが自分で考えて行動できるようになるというコーチングマインドをベースにしたサッカースクール伊勢原FCフォレストを設立。

望むビジョンに向かって未来の扉を自ら切り開き、今も挑戦し続ける一場哲宏、通称哲ちゃんのサッカーコーチの道をご紹介します。

 

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キャリアーサッカースクール経営者
一般社団法人伊勢原FCフォレスト代表
公式HP:https://ifc-forest.com/
お名前:一場 哲宏
職歴&キャリア:日本体育大学、ドイツケルン体育大学留学、ドイツでコーチング、イギリス幼稚園体育講師、湘南ベルマーレサッカーコーチ、一般社団法人伊勢原フォレスト設立

 

 人生の転機はドイツ留学ー孤独と苦悩からの限界突破から得た「人生哲学」とは

ー一場さん、今日はよろしくお願いします。サッカースクールの子供たちからも「哲ちゃん」の通称で呼ばれているようで、こちらでも哲ちゃんと呼ばせていただきます。

哲ちゃんの人生を語る上で欠かせないのが4年間のドイツ留学と伺いましたが、留学の経緯や人生の転機となったエピソードを教えてください。

 

ありがとうございます。
そうですね。僕は日本体育大学の学生だったんですが、大学の交換留学でドイツケルン体育大学に留学しました。

ドイツはサッカーのコーチングメソッドがとても体系的に学べる環境が整っていて、コーチを目指すならドイツで学びたいなとぼんやり考えてたところ、たまたま交換留学できる情報をキャッチしたんです。
それで、ドイツ語も喋れないままでしたが、その環境に飛び込みました。

 

向う見ずに飛び込んでいったドイツで、最初はとても苦労しました。

 

言葉が喋れない僕は当たり前ですが無口ですし、喋れない劣等感から引っ込み思案になってしまって、サッカーコート場で委縮したプレイヤーになってしまったんです。

当然、そんな僕にはパスも回ってこない、だから活躍もできない、チームに貢献できない、よけいに引っ込み思案になるという負のスパイラルにはまっていました。

 

日本人って話さなくても「相手の様子を察する文化」がある、だから、もし日本で同じ状態だったら周りがそれを推しはかって仲間に入りやすいようにするとか、自分から主張しなくても周りが馴染みやすい環境を作ってくれたと思うんです。

 

でも、主張しないと伝わらない文化の国ではこの日本人の価値観が全く通用しないんですよね。

 

ドイツ人の価値観は「人をそのままをリスペクトし大切にする」なんです。

 

だから、僕がおとなしくして黙って全く自己主張しないと、その状態のそのままをリスペクトしてくれるんです。

「お前はそういう風にしていたい人なんだろう」と認識して、そんな人には声をかけないし、無理に変えさせようとしない、それが彼らにとっての人へのリスペクトの方法なんです。

 

それに気づかない僕はしばらくは孤独の中、過ごしていました。

でも3か月くらい経った時、精神的に切れてしまったんです。

練習中のコートで「お前ふざけんじゃねーよっ!俺はここにいるんだよ!なんでここにいるのにパス出さねえんだよっ」ってブチ切れて叫んだんです。

 

それはコート中をシーンと静まり返らせるほどでした。(笑)

キレて日本語で叫ぶ僕をみて、彼らはもちろん何言ってるのかわかっていないんですが、でも「日本人の哲が自己アピールしてる」っていうのは伝わったんですよ。

そこから彼らが僕がチームの一員になりたがってることを理解してくれて、ようやくパスが回ってくるようになったんです。


この経験が僕の人生を変えてくれました。

 

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海外でのサッカー指導の様子


「なるほどそういうことか。自分の人生は自分で切り開かなきゃいけないし、やって欲しいことがあったら自己主張しなきゃいけない。やりたいことがあったらドアの前にボーと突っ立ってるだけじゃダメなんだ」
と、心底、痛感したんです。


でもこれは、逆に、自分で扉をノックすれば、それは必ず開けるってことなんですよね。

日本に帰ったら、このことをサッカーを通して伝えよう、それを伝えられるコーチになろうと決めたんです。


ー留学中にした自身の限界突破の経験そのものが哲ちゃんの人生哲学となったのですね。言葉が通じず、価値観も違う国でチームプレイをすることを想像すると、その孤独感や精神的プレッシャー、ストレスがどれほどのものなのか想像できます。

でも、そこで勇気をだして自己変革した実体験が「自分で考えて行動できる人になる、人生を自分で切り開く責任をもつ」というサッカーコーチとしての教育の原点となられたのですね。

 

クラブチームの一コーチから経営者へー伊勢原フォレストの設立とその想い

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ー今、代表をされている一般社団法人伊勢原フォレストは2019年に立ち上げられていますが、そのきっかけは何でしたか?

実は、以前勤めていたサッカースクールの方針が大きくが変わったことがきっかけでした。

僕のコーチとしての哲学はさっき紹介してれたように「子供たちが自分で考えて行動する」ということですが、トップが変わったことで、全くその逆の勝利主義の指導方針になったんです。

いくらトップが変わったからといって、この指導方針で子供たちに関わることはどうしても出来ない、出来ないならば自分で立ち上げて自分の哲学を実行するしかないと思ったんです。

ーご自身の信念を貫くための独立だったのですね。ただ、そうは言ってもコーチとして雇われている状態から経営者になるというのはやはり勇気のいるご決断だったと思います。

それでもご自身の哲学「子供たちが自分で考えて行動する」を貫くことの原動力はどこから来ていますか?

 

それはですね、「子供の可能性は無限大」だからなんですよ。


子供の可能性は無限大でそれを最大限引き出す指導をすることは、教育の本質でもあり教育現場ではよく言われ、逆に、ある意味ありきたりなことだとも思います。

 

でも、僕はこのことを心底信じているんです。

そして、大人や指導者がこれを信じて関わることで何百人という子供が驚くほどに変化していった、この事実をたくさん見てきたんです。


ー人の可能性を信じている、というのは本当に偉大なことですね。
「相手を信じる」と口にして言うことと、「本当に信じている」ことは大きな違いがあると思います。

哲ちゃんのこの一言はシンプルですけど「本当に信じている」というのがダイレクトに伝わってきました。


ありがとうございます。
子供とこうやって関わりたいと考える原点はドイツ留学の影響もありますけど、もっとその前に両親が僕に対してしてくれたことも大きく影響していると思います。

中学の時、僕は反抗期が激しくて両親を殴ったり外で暴れまくったりと、今、思えばとんでもないクソガキだったんですよ。でもそんな僕でも両親は「信じて見守る、信じて待つ」ということをやってくれたんだなって思うんですよ。

当時は全くわからなかったけれど、今、振り返るとそうだったんだろうなと思います。

だから僕はサッカーを通して子供たちを信じて関わりたい、という想いがあるんだと思います。

ーなるほど。このゆるぎない想いがご自身で独立して事業を立ち上げる強い動機とエネルギーになっているのがよく伝わってきます。

そして、哲ちゃんが両親から受けた愛情が、今のスクールに通う子供たちへと継がれいっているのを見ると、教育とは方法ではなく「あり方」や熱意が何より重要なのだなと改めて感じます。

 

使命は「人と地球を癒して未来の子供達に渡す」

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ー最後に哲ちゃんのミッションと描いているビジョンを教えてください。

僕のミッションは「人と地球を癒して未来の子供達に渡す」なんです。

子供たちのサッカースクール名を伊勢原フォレスト」にしたんですけど、「フォレスト」は地球環境に配慮した木造スタジアムの構想があり、そこからネーミングしました。サッカーを通した子供たちのコーチングだけでなく、大人がコーチングを学ぶための場として「フォレスト大楽」も立ち上げました。

コーチングマインドを学びたい学校の先生や親御さんなどに来ていただいています。

そして、サッカーやコーチングコミュニティーを広めながら、子供からお年寄りまでスポーツを通して健康で幸せになる、信頼のコミュニケーションが基盤なった街づくり、村づくりをしていくことです。

 

ーありがとうございます。相手に持っている偏見や色眼鏡を超えて「信じて関わる」。

この人間関係がお互いを幸せにしていき、自然と人と人が繋がっていくその最終形が街づくりになる、その構想がありありと目に浮かびます。素敵なビジョンをありがとうございました。

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人生は過去の選択の結果でできている。
未来を変えるには、今、何を選択するかと、これからどこへ行きたいかが大事である。


これは哲ちゃんが子供たちにしている「人生の授業」からのメッセージです。

世界中にサッカーコーチという職業の人はたくさんいるけれど、この授業を自らの経験をもとに心底体現できるコーチは哲コーチしかいない。


私たちは日頃、どんな仕事についたらいいのか?と職業や職種に迷い翻弄されてしまうことがある。

でも、職業や職種はあくまでも人生を経験するためのひとつ手段であって、目的ではないのかもしれない。

選んだ職業、仕事でどんな哲学や価値を表現するのか?これを自分で見つけて生きることこそが人生が輝やく秘訣なかもしれない、とサッカーコーチ哲ちゃんの人生から教わった。

 

あなたの人生哲学は何ですか?
もし、まだ見つかっていないなら、コーチングで探究して発掘する価値はあるかもしれません。

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「あなたの働くを考える」インタビューコラムでは、様々な職種、雇用形態、働き方の方にインタビューし、
その方のキャリア形成のプロセスに着目しながら、どんな動機やきっかけが人のキャリアを形作っていったのか?
そしてそれが人生にもたらしている影響はどんなものなのか?を伝えていきます。

そうすることで、読者の「働くこと」を考えるひとつのきっかけや刺激になることを目的としています。

あなたは、今なぜ、その仕事をしていますか?
今の仕事、働き方に満足していますか?
あなたがチャレンジしてみたいことはどんなことですか?

これからの「あなたの働く」をこの記事とともに一緒に描いてみましょう。