「あなたの働くを考える」インタビューコラム
正社員、非正規雇用、起業、副業、社内起業など多様な働き方の選択肢が増え、様々な職業や働き方を経験できるチャンスが増えています。またコロナを期に「本当の意味で人生を豊かにするには?」という観点から本業以外の自分のスキルアップや広い視点でキャリアを考えるパラレルキャリアが広がっています。
「あなたの働くを考える」インタビューコラムでは、様々な職種、雇用形態、働き方の方にインタビューし、その方のキャリア形成のプロセスに着目しながら、どんな動機やきっかけが人のキャリアを形作っていったのか?そしてそれが人生にもたらしている影響はどんなものなのか?を伝えていきます。そうすることで、読者の「働くこと」を考えるひとつのきっかけや刺激になることを目的としています。
あなたは、今なぜ、その仕事をしていますか?
今の仕事、働き方に満足していますか?
あなたがチャレンジしてみたいことはどんなことですか?
これからの「あなたの働く」をこの記事とともに一緒に描いてみましょう。
キャリアーパラレルキャリア(看護師・コーチング)
屋号:しんかいさん家
公式HP:https://shinkaisan.com/
お名前:新海智子
職歴&キャリア:営業職→介護職、看護師(病院勤務)→コーチング
世間の評価を気にする厳しい母親の躾を受け、幼少期から「この窮屈な状況からずっと逃げだしたい!」とそう願いながら過ごしてきた新海智子さん。
大学進学を見送り、親元から自立することを優先し就職。そんな新海さんの小学生時代の愛読書は「心理学本」。
河合隼雄さんや五木寛之さんなど心理学の専門書や仏教の考えが土台となった本を読んで感動して涙を流していたという。
両親からの愛情を感じにくかった幼い新海さんの心を満たした心理学。心の学びとその探究によって、長い月日を経て、両親との心の隔たりを癒し、「生きることの意味」を自ら見出し「しんかい式自己実現メソッド」を、今、世の中に発信している。
今日は、心理学によって導かれ拓かれていった新海智子さんのキャリア形成の軌跡をご紹介します。
営業トップになり、会社からのハワイ招待旅行の空港で社長と
心理学のおかげでTOPセールスマンに!その後、挫折の末、介護施設を経て32歳で看護師に。
ー厳しい母親から自立するため、高校を卒業後、就職し営業職を始めた新海さん。数年後、社内でTOPセールスマンになられたよう。それが幼少期から読んでいた心理学の本のおかげだそうです。心理学の学びが営業職にどんな風に役だったのでしょうか?
そうなんです、今振り返れば、心理学を学んでいたことが成功した要因のひとつだったと思います。一言でいうと「相手の話をよく聴く」に尽きるのですが、結局は相手との信頼関係が構築されていない中でアドバイスをしても「相手を否定することにも繋がる」ということを知っていたからなんです。まずは相手に耳を傾ける、そうしてお客様のニーズに気づきそれを満たしていく、こんなことをセールスで実践していると気づいたらトップの成績になっていったんです。
ー素晴らしい。小学生の頃の読書が仕事や人生で使える英才教育になっていたのですね。さて、華々しい成績を残された後、介護業界という全く違う業界に転職されましたが、それはどんな理由からだったのでしょうか?
実は、大きな挫折を経験したからなんです。
当時、営業の成績がすごく良かったので、出世したのですが、そこからが上手くいかないんですよね。天狗になっていたのもあると思います。
ちょうどその時に結婚の話もあったのですが、それも破談になり、30歳手前で「私はもう一人で生きていくかもしれない」と思ってかなり悩んだ時期でした。
一人で生きていくには「手に職」そしてそれには「もう介護しかないなっ」っていう発想でした。
転職先もたまたま営業で回っていた介護老人保健施設に募集が出てたので「ここにしよう」って安直に決めました。(笑)その後、そこで素晴らしい看護師さんとの出会いがあり、働きながら、そして東京都の就学金制度を利用しながら看護学校に通い、32歳で看護師になったんです。
老人保健施設、夏祭りにて
結婚、出産を経て、看護師として働きながら、45歳でずっと行きたかった大学へ進学。
ーひょうんなことから介護職につき、そして看護師にもなった新海さんですが、ご本人にとって適職のキャリアだったとのこと。一般的に介護現場は離職率の高い職場ですが、新海さんにとってはどんなご経験だったのでしょうか?
わたしにとってはより一層、心の世界の探究と学び、そして知識が生きた現場でした。最初は認知症専門部署に配属されたんですが、廊下を真っ裸で徘徊されたりと、正直大変なのです。でも、ものの見方を変えると、「認知症になる前は、理性的だった大人が真っ裸で歩くってどういうこと?」という視点をもつと、ますます人やその状態に対する興味が湧いていくんです。
おむつ交換ひとつをとっても、この人は横向きに寝ることが多いから、どうやったら尿漏れしないで過ごせるかとか、トイレを拒絶する人にどうやったら上手く誘導できるのか?を戦略立ててはPDCAへ回したりしていました。
そこで「もっと専門的なサポートがしたい」と思い、看護学校を目指したんです。
ーなるほど、探究心と好奇心の塊で突き進まれたわけですね^^心理学という大好きな学びが仕事に活きる、だからこそ、もっと仕事が充実する、そんな印象を受けます。そして、仕事と子育てを両立させながらも、大学進学を選択されています。
そうなんです。実は高校生の時、本当は大学に行きたい、勉強したい!という思いがあり、やむを得ず諦めたのですが、でも、いつかは行きたいという夢を持っていました。娘が小学校5年生で、少しで手が離れ、パート勤めの看護師だったこともあり、45から49歳まで4年間通信制の心理系大学で一から勉強をし直しました。
ー大学での学びはいかがでしたか?
本当に楽しくて充実した時間でした。今までの独学の学びと人生経験とで、散らかってた知識や情報が、すっきり片付いた!って感じです。水を得た魚のように知識を吸収し、1年早く3年で単位を全部とっちゃいました。
ー働きながらなのに、早々と単位をとられてという楽しい学びの様子が伝わりますね。
そうですね。心理学で学んだことと人生経験で自らが体現したこととか点と点で繋がっていって、ひとつの線になっていき「今、自分が生きている意味、生まれてきた目的」を発見できた、これは本当に有意義でした。
看護学校戴帽式
49歳でコーチとして起業。「絶望感」こそが私を前に進ませてくれた、と語る理由。
ー大学卒業後、「コーチング」というメソッドに出会い、コーチとして起業することを決意された新海さん。看護師業のみに留まらず、起業の道に進ませたモチベーションは何だったのでしょうか?
改めて、「なぜ、起業を選んだのか?」を考えたとき、「自分に絶望したから」なんだなと思っています。
ー起業のエネルギーが「絶望」というのはユニークですね。一体どういうことなのでしょうか?
もし大学院へ進めば、わたしの好奇心はさらに刺激され、絶対楽しいに違いない、って思ったのですが、でも、その選択だと「私自身は何一つ変わらない、成長しない」と思ったんです。
学んだ知識を活かして、誰かの心のサポートをしたいとずっと思っていました。
でも、コーチングを仕事にするには、起業するしかないって思った時、「私には絶対無理だ~~」と、そんな自分自身に絶望したんです。SNSで集客するなんて、とんでもない!内向的な自分が何かを投稿して発信するなんて信じられない!無理だ!って。
人のサポートをしたいと思ってるのに、怖気づいて、一歩も行動にできない、そんな自分に絶望したんです。
でも、「私は逃げてるんだなぁ」って自分の弱さを認めると、逆に覚悟を決めることができました。
ーなるほど、その絶望感なのですね。自分の感情を正直に認めると「怖さ」より「覚悟」につながるというのは、人の心の面白い側面ですね。
そうなんです。改めて、自分の人生の転機を振り返ったとき、そこには「強烈な痛みや絶望感」があって、そこから抜け出したい、自分を変えたい!って思ったときが大きな変化のタイミングなんだと思います。
コーチングセッションのお客様と
もしかして神様から贈られた?「人生の目的」とは。
実は、10年前に手術をしたことがありました。その時、万が一のことを考えて「もし、この世からいなくなったら、私は子供に何も残せないなぁ」と思ったんですよね。その時から、これまでの心理学の独学の学びや人生経験から得たものを「幸せに生きるコツ」というテーマでノートに書き留めることを始めたんです。
それをやっていくうちに、幼少期から両親の関係とか、いろんな経験を振り返り、自分なりの納得のいくある答えが得られたんです。
それは、「私が幸せに生きること、これこそが、私の人生の目的なんだ」と。
そして、私が幸せを感じるのは、看護であったり、心のケアだったりと、人のケアをしているときだと腑に落ちました。
幼少期は両親に甘えられず、窮屈で早く家を出たい!一心で飛び出したのですが、幼少期の様々な経験があったからこそ、「私が生きている意味、人生の目的」を発見する瞬間に導かれたのだと思います。
ー素晴らしいですね。「自分が何のために生まれてどう生きるのか?」という問いは多くの人が興味をもち、でも、その答えの発見には彷徨ってしまう、そんなテーマだと思います。それが「心理学」を通してご自身で見つけ出した、だからこそ、誰かの生きる目的や、どんな経験からも、そこに贈られた学びを得る、というお手伝いができるのですね。
最後に、新海さんの夢やビジョンをお聞かせください。
私が開発したオリジナル、しんかい式自己実現メソッドは、自己受容をベースにマインドフルネス、セルフコンパッションを取り入れながら自己実現を目指すことをサポートしています。
今の夢は、心について学び、実践しながら、お一人お一人の「心を育てていく」そんな学校を作りたいと思っています。
そんな場ができたら、多分、本当に最上級の幸せを感じて人生の最期を迎えられるのではないかと思います。
ー素敵な夢を教えていただいてありがとうございました。
このインタービュー中、ご自身のキャリアについて「得体のしれない神様がサポートしてくれたのかも」と、何度かこのフレーズを話された新海さん。
「ただただ、心理学が好き」
この「理由のない好き」、「好奇心」が、人生物語の新しい章を拓き続け、ご自身の幸せなキャリア形成と、幸せな人生へと導いてきた。「理由のない好き」に情熱を傾けて一歩進んでみる?と、あなたを誘う新海智子さんの人生の軌跡、この物語をここに贈ります。