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65歳で起業ー人生の集大成として次世代を支える仕事がしたい

2024年1月28日

コミュニケーションのイラスト

大学卒業後、就職せずにすぐに結婚、2人のお母さんに。嫁ぎ先の家業である酒屋のお手伝いが、ビジネスにのめりこみ、当時、珍しかったリーズナブルに楽しめるワインレストランを開業、たちまちTVや雑誌の取材を受けるほどの人気店に。その後、まだまだ先駆けだった婚活エージェントベンチャー企業へ就職し63歳まで務める。本当にやりたいことをみつけ65歳で起業し会社代表へ。

今日ご紹介するのは、常に時代の最先端をキャッチし社会が求めるものを提供する仕事をしてこられた長岡まりさんです。 

現在は、設立された株式会社イトグチで、これまでの人生経験を全て集約した40代.50代女性の人生をサポートする1on1コーチングセッションサービスなどを提供されている。

「目の前に来た流れに身を任せる人生でした」と語られる長岡さんですが、だからこその、今、伝えたいことがあるという。

長岡まりさんの人生と経験された多くのキャリアから、今、あなたが必要なメッセージを受け取っていただけたら幸いです。

 

お名前:株式会社イトグチ 代表取締役長岡まりさん
キャリア:家業(社員)→アルバイト/派遣社員→正社員→起業
サイト:https://itoguchi.hp.peraichi.com

 

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48歳で離婚、上京し派遣社員やアルバイトをし50歳をすぎてベンチャー企業へ就職

ー嫁ぎ先の家業に専念されて仕事も順調な時に離婚を決意されたようですが、その時のご経験をお話し頂けますか?


はい、当時は仕事に没頭していていました。ただ、46歳くらいから更年期障害の症状に悩むようになり、身体の変化だけでなく、心の波、不安定さを感じるようになりました。

ふとした拍子に「私の人生はこれでいいんだろうか?」という考えが浮かび、それまでは考えたこともなかった今の人生への迷いがでてきたんです。

夫婦関係は随分前に破綻しており、別居もしている、でも、仕事も楽しい、お客様やご縁もいただいている、今、やめるわけにはいかない、と、葛藤がありました。でも「私の人生をこれで終わらせたくない」という想いが日々募ってきて、離婚して新しい人生へ進む決断をしたんです。

ー更年期障害がきっかけで、正直な心の声を聴き、大きな決断をし、人生を前へ進ませた訳ですね。

そうですね。この決断は、これまで、なんとなく流れで結婚し出産、仕事をしていた私が、初めて自分の意思で自分の人生を生み出すことでした。

ーなるほど、された決断の意義深さを感じます。その後、派遣業やアルバイトを経て、ベンチャー企業へ就職、次のキャリアへ進まれましたが、離婚された長岡さんが選んだお仕事が婚活をサポートする仕事というのも興味深いです。

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婚活エージェント業、保育園の新規立ち上げてを経て、65歳で女性のキャリアをサポートするビジネスで起業

ー今から20年前の婚活ビジネスは認知度も信頼度も低い中、その業界の又、ベンチャー企業をを選ばれたその理由を教えていただけますか?

そうですね、離婚した私ですが、結婚のパートナーシップや家族関係は素晴らしいと思っていましたし、何より離婚したときの喪失感や孤独感を経験して「人が幸せになるお手伝いをしたい」と思って、婚活エージェントの会社を選んだのだと思います。

2006年当時、「婚活は恥ずかしいもの、影でこそこそやるという」イメージがあり、こんなにも社会に求められているのになぜ?と疑問をもっていました。

そんな時に、のちに正社員で就職することになったベンチャー企業の社長に出会ったんです。婚活エージェントの社会的意義を明確に示して「堂々と婚活しています!」と言えるカルチャーを社会につくるという理念にとても共感しました。

ーなるほど、ありがとうございます。その後、60歳で保育士の資格を取り、保育園の設立に携わっておられますね。どういう経緯でのキャリア転身ですか?

そうなんです。会社はその後上場し大きくなっていきました。すると今度は社内で女性社員の出産や産後の復帰の課題が浮上してきました。待機児童の問題がマスコミでも騒がれていたタイミングでした。

当時は、一民間企業が保育園を設立するのは、前例も少なく、とても困難でした。そんな中、世論に押され、内閣府が新しく作った制度の「企業主導型保育園」制度を使って、保育園を作ることができました。この制度を使った全国で第1号保育園を当社が作ったのです。私はその責任者でした。

ー第一号店の設立とは素晴らしい功績ですね。長岡さんの会社が次の保育園設立のモデルにもなられたようですね。そして、この保育園の運営時代に、長岡さんの今後のキャリアに繋がる女性の実態を目の当たりにされたと聞きました。

そうなんです。お母さんたちの切実な悩みに数多く触れました。子供を産んだことでこれまでのキャリアを失ざるを得ず、葛藤されている方、シングルマザーや仕事と家事、育児に悪戦苦闘される方の訴えに近い悲痛な声を聞くたびに、これは個人の問題ではなく社会課題だと感じるようになりましたね。

そして、その心に寄り添いたいと感じるようになりました。

 

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大きな喪失体験がくれた「私のミッション」

一人―一人の中にある心の呪縛を取り除いてあげたい。


ー実は、長岡さんは大切なお嬢さんを鬱で亡くされています。この出来事から精神的に立ち直るだけでも、本当に大変だったと思うのですが、だからこそ、今、新しい目標を掲げて、前進されています。その思いや経緯をお聞かせてください。

はい。娘が亡くなったのは63歳で退職するタイミングでした。娘は出版社に勤めていたのですが、仕事の忙しさや様々なストレスから心を病んでしまって、何年も鬱で苦しみました。最後は、薬の過剰摂取で突然亡くなってしまったのです。

ーその状態から心を整わせ、ご自身の使命を見つけ、人生を前へ進めていけたことのは、どんな要因や助けがありましたか?

私は8年間心理学やコーチングをずっと学んできたのですが、この時は、9日間の自己探求の合宿に参加しました。1日、8時間、自分自身と向き合い、この出来事が私に与えた意味は何か?私はこの人生をどう生きたいのか?自分に問い続けました。

私が人生の終盤に、次の世代のためにできること、全力でやれること、それを深い自己対話の中で見つけ出せました。

ーその答えが、今、ご提供されている自分とトコトン向き合う時間を提供する『トコトン・ダイアログ®』1on1対話セッションサービスだったということですね。

そうです。これまで、婚活サポート、保育園の立ち上げに関わってきて、人生の悩みや迷いが多くなる40代以降の女性のキャリアや人生そのものをサポートしたいと思っています。

今は女性が働くことは当たり前の時代、でも、今の働く女性は参考にしたい先輩モデルがいない世代です。世代です。親のほとんどが専業主婦で、仕事と子育て、介護を両立してきた前例が少ない中で、そんな働く女性のために社会のサポートが物理的にも精神的にも全く整っていない、そんな中で進んでいかなければならないんです。

それが女性たちを追い詰め苦しめてしまっています。

ただ、私が考える一番の苦しみは、母として、女性として「こうあらねばならないという心の呪縛」だと思っています。

本来は一人一人、違って当たり前なのに、まわりの概念で「こうあらねばならない」によって、その人自身の本当の心の声がかき消されてしまいます

その呪縛を対話を通して解いていき、自分の答えを軸にした生き方をサポートしていきたいと思っています。

ーこれまでお話をお聞きして、長岡さんが切り開かれたキャリアの中に一貫して見えるのが人に対しての愛情です。嫁ぎ先の家業でワインレストランを立ち上げられたときも、保育園立ち上げに奮闘されたときも、常に、目の前の人に喜びを与えたい、苦しみを取り除いてあげたいという想いから動いて、その結果、今に至るキャリアをしっかり培っていかれたのだと思いました。
また、仕事以外で学ばれてきた心理学が、ご自身の人生の要所要所で助けとなり、最終的に、人生の集大成としてのお仕事に繋がっている点にとても感動しました。素敵なお話をありがとうございます。

2

 

人間万事塞翁が馬

一見、不運に思われることが幸運につながったり、その逆だったりする。
幸運か不運かは容易に判断できない。

これは中国の諺ですが、この言葉が人生を支えてくれた、と長岡さんはいいます。

人生で起きた不運と思える出来事、それを受け入れていく中で、自分の生まれて生きた意味を知り、その人生を生き始めることができる。これもまた、この諺、そのものを体現してます。

人は何歳からでも、どんな経験も糧となり自分次第で自分のキャリアをつくっていける。
自分の心との深い対話は、自分自身を救い、働く喜びだけでなく、生きる喜びをくれる確かな時間になる。

働くことを考えることは、どう生きるのかを考えることなのかもしれない。 

 


「あなたの働くを考える」インタビューコラムでは、様々な職種、雇用形態、働き方の方にインタビューし、
その方のキャリア形成のプロセスに着目しながら、どんな動機やきっかけが人のキャリアを形作っていったのか?
そしてそれが人生にもたらしている影響はどんなものなのか?を伝えていきます。

そうすることで、読者の「働くこと」を考えるひとつのきっかけや刺激になることを目的としています。

あなたは、今なぜ、その仕事をしていますか?
今の仕事、働き方に満足していますか?
あなたがチャレンジしてみたいことはどんなことですか?

これからの「あなたの働く」をこの記事とともに一緒に描いてみましょう。