仕事を辞めたくなる、もしくは辞める理由の一番は「人間関係」であることをご存じでしたか?
日本労働調査組合が2021年、20歳以上の会社員500名にとったアンケートによると、1/3が「辞めたい」と回答し、
その理由として「評価、待遇に不満」と「職場の人間関係」が同点1位となりました。
給与や待遇を変えたい、社風が合わない、仕事に対する価値観が違う、または人間関係の中でもいじめやパワーハラスメントを受けているなどの理由であれば、辞める選択をして、職場や職種など環境を変えることで自分の理想を手に入れやすいでしょう。
ただ「人間関係の悩み」となると、退職理由の1位であっても「こんな理由で辞めてもいいのか?」と悩む人も少なくないようです。
「苦手な人がいる」、「人間関係が嫌」という理由で生活基盤である仕事を辞めるのは、自分の考えが浅はかでは?考えが甘い?わがままなのではないかと思える、とそう感じる心理も理解できます。
ただご存じのように、日常的にストレスにもなるのが職場での人間関係です。
仕事はしんどいけれど、人間関係がいいから職場が好きだと、人間関係がよければ長く働きたいモチベーションに繋がることも多々あります。
いずれにしても、人間関係の問題は「こんな些細なこと…」と軽視せずに「自分にとって重要なこと」として捉えてみましょう。
一度、人間関係というテーマで自分の心、感情について向き合い、そのうえで、仕事を辞めるかどうかを考え始めてみるのも遅くはないでしょう。
人を変えることはできないけれど、自分を変えることなら出来るかもしれません。
本記事では、自分の苦手な人の対処法として、自分の心を見つめていく3つのステップをご紹介します。
そして、もし、自分の心を見つめることのメリットがあるとしたら、それはどんなものかについて一緒に考えてみましょう。
苦手な人への対処法 心を見つめる3つのステップ
考え方が違う、愛層が悪い、なんとなく偉そう、媚びている、上からものをいう、、などなど人は色んな理由から苦手意識を感じます。
苦手な理由が具体的な場合もあれば、服装のセンスが嫌、表情がない、逆に、明るすぎるなどと、本人も明確な理由がわからないまま、なんとなく心がざわざわし反応してしまうという人もいるでしょう。
次の3つのステップを進みながら、自分自身の心の中を見つめていきましょう。
ステップ①自分の感情や反応に気づく
最初のステップは自分の心の反応に気づくことです。
反応的に起こる感情「イライラ」「不安」「恐れ」や、身体にでる反応「なんとなく視線を逸らす」「どっと疲れる」「気づいたらため息ついてる」「身体のこわばり、緊張」など、自分の状態にも気づいていきます。もしかしたら、我慢する癖のある人は、この反応に気づかない、反応を無意識に抑えてしまっていることもありますので、丁寧に観察していきましょう。
基本的に人はネガティブな感情に長く留まることを嫌います。出来るだけ逸らしたくなるものです。
それを逸らすために、お酒を飲んだり、買い物をしたり、食べ物で発散している訳です。
苦手な人と対峙した時に起きる感情や反応にまず気づくことで、自分自身を冷静に見つめる、自分の心を受け入れていくことが出来るようになります。
ステップ②反応の原因を探る
次のステップは「苦手な人のどこが苦手なのか?」の原因を探っていくプロセスです。
さっきのステップ①で自分の心の反応に気づいた後、もう一歩、踏み込んでさらに自分の心を見つめていきます。
「苦手な人のどこが苦手なのか?」そして「なぜなのか?」
という問いを立て、その答えをノートに書き留めていきましょう。
例えば、「なんとなく笑い方が嫌だった人」について深めていくと「その態度は人を馬鹿にしているように感じる」に導かれるかもしれません。
「怖くてちょっと緊張する人」が「人の弱みをつついてマウントをとってくるように感じる」など、自分が何に傷つき、何が脅かされているのかを知っていきます。
ステップ③事実と感情をわける
最後のステップは「事実と感情をわける」です。
「人を馬鹿にしているように感じる」「人の弱みをつついてきてマウントをとってくる」は、あくまであなたの心の中で起きていることであって、実際にそれが本当なのかは本人の口から聞いてみないとわからないことです。
ここにある真実は、「あなた自身は相手がそうしているように感じている、きっとそうに違いない!」と思っていることのみです。
もし、この事実と感情を分けて、「私の感情は事実でないかもしれない」と感情を脇におくことができたとしたら、次にその人と接するときに、その人の別の側面を見つけようと意識的に関わると、もしかしたら、全く違って見えるかもしれません。
人間関係は鏡。だからこそ、苦手な人は人生の宝物。
先程の自分の心と向き合う3つステップの上級版として、さらに、もう一歩踏み込んで人の心のメカニズムに触れると、とても人間の心はとても複雑なことをしているのに気づきます。
実は「相手が馬鹿にしている」と思っていたけど、「あなたの方が相手のことを馬鹿にしている、、」ということもあるのです。
人のことを馬鹿にしてはいけないと思っている人が、こっそり相手を馬鹿にしていて、馬鹿にしてしまう自分のことを無意識的に守ろう(正当化)とし、「相手がそうしている(馬鹿にしている)」と思い込ませるようにする機能があるのです。
この心の機能を「投影」と呼びます。自分の嫌な面を相手に映し出すことです。
もし、自分の心と向き合うプロセスでこれに気づいたとしたら、苦手なタイプという人は、自分の心によってつくられていることに気づくでしょう。
「人間関係は鏡である」とはこのことなのです。
苦手な人や、職場での些細なトラブル、ストレスを感じる人間関係は、精神を病むような場合を除いて、自分の心と向き合い、自分の心の機能がどのようになっているのかを知ることで、自分のストレスが緩和されるだけでなく自分自身を変える可能性があります。
自分が変われば、鏡としてまた映し出される相手も変わります。
ただし、苦手な人に対する自分の心と向き合うことは、その相手ではなく、自分の過去に原因があり、その許せない傷を癒していくプロセスが必要な場合があります。それは決して、簡単でないことでなく、そしてとても勇気がいります。
でも、このプロセスを勇敢に進まれたとき、苦手な人を通して、自分の古傷が癒されていきます。これを重ねていくことで、もしかしたら、人生に現れる苦手な人が少しずつ減っていくかもしれません。
まとめ
転職や会社を辞めたい原因の中で「人間関係の悩み」が大きな要因であるとお伝えしました。そのストレスから安易に大切な職場を手放なくていいように苦手な人への対処法の3つのステップを紹介しました。「苦手」という感情に向き合うことは、自分の心を知るプロセスであり、それは、想像以上に大きな成果を与えてくれかもしれません。自分の心の状態から逃げない勇気が人生の可能性を広げてくれるでしょう。