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「冷静と情熱の間で」

2023年2月21日

コミュニケーションのイラスト

こんにちは。なんでも屋植物療法士キャリアコンサルタントの木村宏美です(肩書もどき長!)
なんでこんなヘンテコな自己紹介なのかは、前回のコラムをお読み頂けると嬉しいです。
今回も内容があるようでない、たぶん何かの学びに繋がることはないコラムで、それただの自己満じゃん?とツッコミが来そうですが、それでもつらつら書いて行きたいと思います。よろしければしばしお付き合いくださいませ。

今回のお題は「冷静と情熱の間で」です。どこかで見たタイトルですね。
私が20代の頃に流行った小説ですが、タイトルは「冷静と情熱のあいだ」が正解です。
小説は江國香織さんと辻仁成さんが同じ物語をそれぞれに男女の視点で書いていくという甘く切ないラブストーリーでした。私も当時ハマり、2冊(女性視点のRosso、男性視点のBlu)を読み映画も観ました。
20代の頃は様々な事に経験値が浅いため、恋愛でも仕事でもとにかく自分中心に考えがちなので、男性の行動や発言に「なんで?どうして?」と常に頭の中は「??」が並ぶ日々でした。(年齢と経験を重ねていくと両性化(?)してくる部分もあるので、当時よりは理解できるようになったような、ならないような・・・。)そんな時に同じ物語で男性視点の行動や発言を読むと、なるほど!男性はそう思ったりするのか!と目からウロコ体験をしたことは今では懐かしい思い出です。映画に出てくるイタリアの街並みが美しいので、ご覧になった事がない方はぜひ観てみてください。

 

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引用:角川文庫

さて、前置きはこの辺で、私は最近「地域の居場所づくり」という活動に参加しています。人のご縁で仲間たちと作り上げていく場所づくり。
今まさにこれからどんな活動にしようか、どんな人が来てくれたらいいか、私たちは何をしたら良い場所が出来るか等、話し合いながら実験を繰り返してチャレンジしていく段階です。仲間で集まるとワクワクして笑顔と話題が絶えず、とても幸せな時間を過ごすのですが、今回はそんな新しい取り組みをする時に感じたお話です。

何か新しく始めるとき、特に自分がやりたいと思っている事を始めるときの頭の中はやりたい事が上手く行ったときのイメージでいっぱいになりませんか?私はそうです。私は兼業ハーブ農家として農業とカフェ経営と地域活動を目指していますが、例えばカフェにはお客様がたくさん来てくれて、様々なイベントやワークショップを行って、オリジナル商品を作ったりして、その商品がメディアに取り上げられて爆発的に売れて、SNSのフォロワー数が急増して・・・みたいな、まぁよくある分かりやすい成功例を寝る前に布団に入って妄想していると興奮して眠れなくなった・・・なんてことはしょっちゅうです。
でも世の中そんな甘くはなく、初めはひたすら地道に活動を進めていき、少しずつお客様への認知度が上がっていって、まずは一ヶ月頑張って、翌月は前月より少〜し良くなって、でも全然前月に到達しない月もあって凹んだりして山谷を繰り返しながら12ヶ月継続して、やっと一年が経過する。二年目は改善点を見直して更によいお店になるようにチャレンジを重ねていって、少しずつ自分が目標としている場所に近づいていけるといい・・・。
そう冷静に考える一面もあります。
その冷静と情熱の間にあるものって何でしょうか?

私の知人で地域に子育て中のママたちが一息つける場所を作りたいと、熱い想いを周囲の人に熱心に伝えたところ、トライアル的に場所を貸してもらえる機会に恵まれ、月一回程度「ママのための一息サロン」を運営している方がいます。
そのサロンは、来てくれた子供たちの面倒は知人とサポーターがみて、ママはコーヒー等を飲みながら読書や自分のための時間を過ごすというもので、完全に人に預けるのは気が引けるけれど自分の目の届く範囲で人に任せながら自分は少し寛ぐ時間を過ごす空間というのがコンセプトになっています。彼女は自身の子育て中の経験からこのようなサービスを思いつき、日々の生活の中でほんのひと時だけでも自分と向き合える時間的余裕が持てたら、ママたちの精神状態はすごく楽になり、子育てをただ大変なものではなく楽しんで取り組んでいけるようになるはず・・・という想いで始めました。
私も子育ての経験があり、幼い子供を抱えるママはとにかく自分の時間がないことを知っているので、これはとても良い取り組みだなぁと思っています。

サロンを始めた当初は、SNSで積極的に発信をして、周囲から「すごいね!」「想いを実現させるなんて素敵だね!」とたくさんのポジティブコメントをもらえるようになって、自分のやりたいと思っていた事が実現した喜びから参加してくれる親子が少なくてもとても充実した時間を過ごせていました。ただ回数を重ねていくと段々と参加人数の少なさが気になるようになり、求められるサービスではないのではないか、自分はこれをやる意味があるのか、終には本当は何をしたら良いのかと悩むようになってしまいました。

 

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実はこれは誰にでも起こり得る事で、私も同じ経験をしたことがあります。キャリアコンサルタントの資格を取得したばかりの頃、資格を活かしたくてキャリアに関するワークショップを開催し、初めは優しい友人たちが参加してくれるのですが、そのうち段々と参加者が少なくなり、自信を失って開催することが苦痛になり止めてしまいました。
今思うと初めは「私がワークショップを開催している」という優越感を感じるだけの完全に自己満足の範囲だったと思います。私はとても気持ちが良いけれど、回を重ねる毎に無料ではないワークショップに貴重なお金とお時間を割いて参加してくださった方々に、意識の変革までは及ばなくても、何か記憶に残る時間を作れただろうか・・・その方にとって有意義な時間になっただろうか・・・とただ悶々として、参加者が減少する理由を分析することをせずに終わらせてしまったのです。
ただこの時はどんどん弱っていく私を見かねて方向転換する助け舟を出してくれた方がいてくれたので私は復活することが出来、この経験が今のハーブカフェを目指す原点となっているのですが、当時はかなり思い悩みました。

たぶん誰しも何か自分で物事を始めた時に、「あれ?こんなはずじゃなかった」と思うことはあると思います。まさに「冷静と情熱の間で」ですね。
情熱があるときは勢いで始めても、時間が経つと冷静さを取り戻し、あれ?っとなる・・・。
この「コレジャナイ感」を次にどう活かすか、活かさず止めてしまうかが分かれ目になるのではないでしょうか。
そして次に活かすために必要なことは、「なぜそれをやるのか(意味)、目的は何か、最終的にどうなったらよいか(目標)」を明確化する事だと思います。ここはもう出来るだけ具体的に。自分の頭の中にある漠然とした内容では人には伝わりません(上手く汲み取ってくれる方もいますが・・・)。出来れば理路整然と淀みなくやる意味と目的・目標を説明出来ると人に理解され協力を仰ぎやすくなりますし、何より自分の目指す道に自信が持てるようになります。
私が以前に開催したワークショップは、キャリアコンサルタントという資格を取得した自分を知ってほしいという承認欲求を満たすだけの物だったのではないかと今は思います。参加者に何を届けたいか、参加して頂いた後にどのような変化があったら良いか、そして参加者は何を望んでワークショップに参加してくださるのか、大切な部分の考えがまるで足りてなかったと思います。

 

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前出のママサロンの知人も、行動を起こしてみて見えてきた壁をどう乗り越えるか、これから自分の気持ちと向き合う時間を経て、また次に繋げて行って、地域のママのために素晴らしい活動をしてくれると願っています。

私もまだ、ヒヨコにもなっていない卵の状態で偉そうな事を書いていますが、これから殻を破って初めて外に出る前に、しっかりと自分と向き合い、自分が提供出来ることは何か、お客様が望まれていることは何か、それをどう結びつけて固い蝶々結びが作れるかを模索しながら、「冷静と情熱の間で」揺れる自分をもう少し楽しんでいきたいと思います。