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スペシャリストかなんでも屋か?

2023年1月30日

コミュニケーションのイラスト

こんにちは。木村宏美と申します。
この度、ご縁ありコラムを書かせていただく機会を頂戴致しました。
拙い文章ですが、つらつらと「キャリア・働き方」というキーワードを元に自由勝手に書かせて頂きたいと思いますので、少々お付き合い頂けましたら幸いです。

キャリアコンサルタントであり植物療法士

まず、私は一体何者かということですね。自己紹介を致しますね。
私はそこそこ酸いも甘いも経験してきた40代半ばの女性でございます。
昨年14年勤めた会社を退職し、現在は自分で育てたハーブや野菜を生活に取り入れて健康的な生活を送ることを目標に有機農業を学んでおります。その一環として、日常的なセルフケアとしてのハーブ活用方法を知っていただくために、ハーブティを飲みながらお話を聴く会を週に一回開催しています。
保有資格は、国家資格の「キャリアコンサルタント」、「第一種衛生管理者」、「普通運転免許」、民間資格として「植物療法士」という資格を取得しました。

・・・はてさて、これだけでは私は一体何者なのかってわかりませんね。
キャリコンと衛生管理者免許持って、ハーブ活用?自分でもわかるようでよくわからない。簡潔に自分が何者なのかを説明するのはとてもムズカシイことなのですね。

密かに憧れていた潜水士

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まだ私がうら若き学生だった頃(ココ苦笑するとこです)、私は海洋動物(クジラやイルカ等)が好きで、水族館の飼育員や野生動物保護を仕事にするために、高校卒業後、当時 沖縄県石垣島にあった海洋専門学校に入学しました。専門学校ですので、大学のように一般教養を学ぶことはなく一年生から専門知識を学び、そのために必要な資格を取ることを勧められます。学校で勧められたのは、まずダイビングライセンス、船舶免許、海上特殊無線技士、海技士、危険物取扱、気象予報士、等がありますが、その中で一番カッコイイ!と密かに憧れていたのが「潜水士」でした。

潜水士とは、「潜水具を着用して水中に潜り、海底や川底の調査や測量、護岸や防波堤の建設工事、船底の状況調査や破損修理、沈没船の解体や引揚げなどの水中作業をする(厚生労働省 job tagより引用)」水中作業のスペシャリストです。

時には海中溶接作業までこなしてしまう潜水士。
今調べると、すごいガテン系の仕事だなと感じますが、当時はなぜか花形資格に思え、触り程度ですが受験勉強をしたものです。結局受験前に事情があり受験しませんでしたが。

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職業資格には、上記の潜水士のように、一度資格を保有するとその道のスペシャリストとなり、その道一本で食べていく資格(医師や弁護士、税理士、社労士、中小企業診断士など「先生」と呼ばれる資格もそうですよね)と、私が取得した資格のようにいくつかの資格を組み合わせてオリジナリティを出して仕事にする資格があります。どちらも業務に必要であれば、関連する資格を更に取得してスキルアップをしていきます。

「スペシャリスト」の定義とは?

さて、ここで今日の本題です。「スペシャリストかなんでも屋か」。
今回私がこのコラムを書かせて頂けるきっかけになったのは、「キャリアコンサルタント」という資格のおかげです。ですが、キャリアコンサルタントとしてその資格だけで生計が立てられているかというと全く出来ていません。ということで私は「キャリアコンサルのスペシャリスト」ではない訳です。(あ、誤解のないように記載しますがキャリアコンサルタントの資格一本で生計を成り立たせている人はたくさんいます)
では、衛生管理者、植物療法士のスペシャリストかというと、うーん自信を持って大きな声で「はい!スペシャリストです!!」と言う勇気はない・・・。

そもそも「スペシャリスト」の定義って何よ?と思ってらっしゃると思います。
「スペシャリスト:特殊技能・技術をもっている人。ある特定分野の専門家」(広辞苑より引用)
私が前段で「キャリアコンサルタントのスペシャリストではない」と断言したのは、自分としてはものすごく頑張ってキャリア理論やコンサルティング技能を学び、認定試験に合格して国家資格を取得したけれど、自身をその道の専門家というには経験も足りないし、専門知識も深くないと自負しているからです。そしてその道を極める専門家になろうとしていないからです。

子育て世代のキャリアサポート

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私はシングルマザー歴20数年のベテラン(自慢することではない)なので、子育て世代のビジネスパーソンが周りのサポートなしで子育てと仕事を両立させる難しさを痛いほど理解しています。よって資格取得後は子育て世代のキャリアサポートをメインに仕事がしたいと思っていました。そのために経験を積もうと所属していたコワーキングスペースで何度か女性のキャリアサポートワークショップを開催したのですが、参加者からは好評をいただくものの自分としては何ともしっくりこない・・・。もちろん終わった後は達成感もあり次回の企画も浮かぶのですが、回を重ねる毎に憂鬱を感じるようになりました。

その理由は、ワークショップ(能動的な内容)と言っても形式はセミナー的(受動的な内容)で、こちらが概要を説明し、参加者がワークをやって気づきを得てもらうというものだったので、「対話」いうより「レクチャー」が主だったのです。・・・つまり、やり方が私に合わなかったのですね。

学んだ知識・経験と別のものとの組み合わせ

回を重ねる毎にどんどん元気がなくなる私を見てコワーキングスペースのオーナーが「レクチャーを止めて、対話型にしてみれば?スナックはどう?」とアドバイスしてくれて、テーマを決めずにフラリとカウンターに来てくれるお客様と話すというスナックスタイルに変えたら、あらら ものすごく楽しい!!スナックのママっていう響きも素敵♡という発見をして、その時に私は、「資格を取得したとしてもそれを極める「スペシャリスト」になる必要はない」と自覚したのでした。

そこからスペシャリストにならなくても学んだ知識・経験を活用して別のものと組み合わせて自分に合うやり方を見つければ良いと吹っ切れて、自分の興味の向くまま様々なものを学んでみようと思いました。その一つが「植物療法」と「有機農業」です。

仕事のストレスで体調を崩した時に出会った「植物療法」

「植物療法」は、植物に含まれる生理活性成分を活用して病気まではいかない軽微な不調に対して自律神経を整え自己免疫力や自然治癒力を向上させていく伝統療法の総称です。

日本で昔から言われている 風邪のひき始めには葛湯を飲む や、消化不良の時は梅茶を飲む、また春の菖蒲湯や冬のゆず湯など「おばあちゃんの知恵袋」も植物療法なのです。

私は40代に来る何回か目の多感なお年頃の影響(更年期障害のことです)と仕事のストレスで体調を崩して この療法で出会いました。漢方は高いけど、ただハーブティーを飲むだけなら安くて簡単じゃ~んと気楽に初級クラスを受講して、気づけは上級コースまで進み、「植物療法を仕事にする!」と宣言していました。

ただこの資格も友人たちそれぞれの症状に合うオリジナルハーブティーを作ったり、アロマオイルを使ったクリームを作ったりしてみたのですが、基本面倒くさがりの私にはどうにも合わない・・・。そもそも作るハーブティーが美味しくない。でも、ハーブの効果は伝えたい。ということで、餅は餅屋だ!と開き直り、ハーブブレンドが得意な友人のハーブティーを取り寄せて、週に一度ハーブティーを飲みながらゆるりと話す会『Herb Café piilo』というカフェを定期開催しています。

植物は「土」で栄養が変わる

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「有機農業」を学ぶようになったきっかけも、ハーブを学ぶようになって植物は土壌の違いで薬理成分の含有量が変わるということを知り、人間が食べ物で健康状態が変わるように、植物も栄養を摂取する土で変わるなんて面白い!土ってそれぞれ何が違うの?という興味が湧いたからです。
まだ初歩なので、これから実際に育てて効能を確認する段階になるとまた新しい発見があると思いますが、ただ作物を作って活用するだけではなく、私に合ったやり方を見つけていくのだと思います。

しいて言うなら「なんでも屋」

さて、ここまで書いても私は自身のことをうまく説明する言葉がまだ見つかりません。しいて言うなら「なんでも屋」かしら・・・。

今、特定の組織に所属していない私は、頂けるお仕事で自分が出来そうなものはお断りせずにやらせて頂いています。中には、セミナーの受講履歴をシステム端末に入力することだったり、インスタの記事アップだったり、新規事業の企画策定だったり、農家の収穫のお手伝いだったり、子供の一時預かりだったり、飲食店の配達だったり・・・。

やっていることに一見何も繋がりがないように見えても、経験が次の繋がりを生んでいくことがあります。
それを実感出来た時に、私は自分の多様な経験値に自信を持って「私はこんな人間です!」と胸を張って自身のことを説明できるようになる気がします。

お話をお聴きしているとよく「◯◯」という分かりやすい肩書を持たなければいけないと思っている方がいらっしゃいますが、その肩書に囚われずに自由に興味の向くまま色んなことをする「ナニモノでないジブン」を目指してみても良いのではないでしょうか。

もちろん特定分野の専門家「スペシャリスト」になることもめちゃくちゃかっこいいですけどね!

自分が何を目指したいかを迷ったら、極める方が合うか、並行して様々な事をやる方が合うか、とりあえずやってみる(行動してみる)ことをおすすめします。

楽しんでいる人のところに人は集まってくるので、本気で楽しんでいる人の吸引力はすごいです。
「スペシャリスト」も「なんでも屋」も、本人が真剣に楽しんでいれば自ずと人が集まり、新しい道が開け、自分も成長出来る良い活動が出来ると私は思います。