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予測不可能な時代に成功を掴むキャリア形成の考え方

2023年6月23日

コミュニケーションのイラスト

あなたは、1年後どうなっていたいですか?
変わらず、今と同じ仕事で、同じ働き方でしょうか?

そして、3年後はどんな仕事をしていますか?もしくは、どんな仕事をしていたいですか?
5年後は?10年後はどうでしょうか?

1年後、3年後なら、なんとなく仕事や将来について予想がつくかもしれません。
ただ、5年後、10年後はどうでしょうか?

10年後、さらに20年後、社会や世界はどんな価値基準が一般的で、何が流行していているのか?
また、どんな仕事が求められていて、どんな仕事がもう必要とされなくなるのか?
これらの問いに答えられる人はそう多くはありません。

私達は小さな頃から、目標を持つこと、夢を描くことの大切さを教わってきました。
人間にはイメージをする能力があり、イメージをもてるから行動し、想像したとことを具現化できるため、目標や夢を描くことは、望む人生を生きるためにはもちろん有効です。

ただ、進学や就職などのタイミングで「将来の明確なキャリアを考え目標を設定することが賢明だ」という概念に追い立てられ、暗黙のプレッシャーを感じていた人もおられたでしょう。

しかし、未来予測がますます不明瞭になっていく時代に、これまで正しいとされてきた目標設定の考え方だけでは、長期的なキャリアを見通せず補いきれないのが現実です。

計画的偶発性理論を提唱した米スタンフォード大学ジョン・D・グランバル教授によると、「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される。」ということが研究により実証されており、また「その偶然を計画的に設計し、自分のキャリアを良いものにしていける」と提案されています。

予期せずにおこった偶発的なこと、人との偶然の出会い、計画になかった異動や、キャリアチェンジ、などが、意外に功を奏し、よい結果に繋がっていくというものです。言い換えると「今、目の前にあるチャンスを掴むことで最適なキャリアを得る」ということです。そして、研究によると、8割がこのやり方で成功しているというのです。

つまり、これまでの将来の目標、つまり、未来に集中して計画をたてる目標設定だけではなく、今の目の前に集中しチャンスを得ていく偶発性理論をバランスよく取り入れることは、これからの時代のキャリア形成には欠かせない考え方と言えます。

今日は、「未来を重要視する目標設定キャリア形成法」と、「今を重要視する偶発性キャリア形成法」のそれぞれのメリットデメリットを取り上げ、この双方の考え方を人生や仕事においてどんな風に活かしていけるかを考えてみましょう。

「未来型・目標設定」「現在型・偶発性キャリア形成」のメリットとデメリット

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未来型・目標設定とは、あなたが将来なりたい姿や達成したい大きな目標から逆算して行動計画を立てていくやり方です。

まず達成したい大きな目標を設定し、それを達成するために必要なことは何か?と問いかけ、最初に挙げた達成したい目標の前段階の目標を決めます。次に、その2つ目の目標を達成するために必要なことは何か?とさらに3つ目の目標を見つけていくやり方です。

「未来を重要視する目標設定キャリア形成法」のメリットは、目標が明確であるからこそ、行動計画も具体的で、確実にステップを踏めば、目標を達成する確立を高められる点です。

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逆に、デメリットは、先程からお伝えしているように、目まぐるしいスピードで変化する社会情勢、加速するAI化、また多発する自然災害や個人の人生でおこる病気や家族のトラブルなど、予期せぬ事態から当初の計画通りに進まなくなった時に、あまりにひとつの目標だけに固執してしまっていると、柔軟な視点をもつことができず、リスクを負うことがあるという点です。

そのリスクとは、目の前に起きていることを軽視して、みすみすチャンスをみ逃してしまったり、計画通りに進まないことで精神的ダメージを受け無駄に自尊心を低下させてしまったり落胆して目標そのものを放棄してしまうなどです。

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「今を重要視する偶発性キャリア形成法」とは、たまたまお願いされて引き受けた仕事で思わぬ能力が発揮されそのキャリアで大躍進できた、や、キャリアを変えたことで、自分でも気づいていなかった可能性を発見したり、潜在能力が引き出されることがある、というメリットがあります。

予測不可能な時代だからこそ、今に集中することで、目の前に現れたチャンスを掴みやすいという点です。

多少、当初の計画からはずれてしまっても、キャリアを積み重ね、その点と点が自然と繋がり、最終的に成し遂げたかった夢やビジョンを手に入れていたということも実際にはあります。

この考え方は、これまで夢や目標が描けずに悩んできた人にとっては、今、目の前の充実感を増やし、まずはやってみるというチャレンジをしやすくなると言えます。

逆にデメリットは「今を大事すればいい」という点を、今の感情に流れされてしまうことと混同しないよう様に注意が必要な点です。
なりたい自分を目指していく過程で、多少の困難を忍耐強く乗り越える時期は誰でも必要ですが、明確な目標設定がされていない分「今やる気がしない、だからこれがやりたいことではないのでは?」と、感情に流され早々に諦め、結果、何も得られない、また成長もしないまま、キャリアが形成されず落胆してしまうことがあります。

偶然のチャンスを意図的に掴むための5つの資質

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ジョン・D・グランバル教授は、計画的偶発性理論の中で、成功するキャリアを築くために、偶発の出来事が起こるのを待つのではなく、みずから引き起こすべく行動することがポイントであると述べています。

具体的には、次の5つの行動特性や資質を持つ人にチャンスが訪れやすいと言われています。

「計画的に偶発性を起こす5つの資質」

好奇心(Curiosity):新しいことに興味を持ち続ける
持続性(Persistence):失敗してもあきらめずに努力する
楽観性(Optimism):何事もポジティブに考える
柔軟性(Flexibility):こだわりすぎずに柔軟な姿勢をとる
冒険心(Risk Taking):結果がわからなくても挑戦する

参照:ウキペディア

好奇心旺盛で、未知に興味関心を伸ばす態度は、人の出会いやビジネスチャンスを手にしやすいでしょう。また、失敗から学ぶ姿勢や、すぐに成果が得られなくてもコツコツと努力できる資質は、人から信頼されて応援されやすくなります。

この5つの態度をもつことで、未来が予想できない変化の激しい時代で、用心しすぎて案ずる日々を送るよりも、やりたいことに挑戦してやってみると、人生を楽しみ謳歌することができるのではないでしょうか?

まとめ

人生のキャリア目標を設定するにあたって、目標設定型と偶発性型があり、どちらが正しいということもなく両方の視点をバランスよくとらえることが大事であるとお伝えしました。偶発性型を取り入れた場合、キャリアの途中で望まない変化がおきても、目標に対して柔軟に対応できます。また、人生で何を大切にしたいかという価値観が明確であれば、得ることや、達成することだけに捉われなくなり、逆に自身の成長や変化に応じてキャリアを変えていく、そんな風に、より「個」を大切にする働き方、生き方ができていくのではないかと思います。